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インターネット殺人事件
「やや旧聞に属する話題。
こんなものを作ってみました。」
「チャンピオン RED の読者ページから転載。
この月の付録は『こいこい 7 』の飛鳥ヤヨイフィギュアでした。
何を言わんとしているかというと、世間とのギャップに絶望先生ばりの絶望を覚えたということです。
仮にこのアンケートに答えていたとしたらこう。」
「ここ半年ほどで雑誌付録が嬉しかったのはウルトラジャンプ 2005 年 9 月号のスティール・ボール・ラン特製表紙カバーだけでした。 唯一です。他にはありません。ウルトラジャンプとアフタヌーンとチャンピオン RED を買っていて。(*1)」
「特に嬉しくないのは趣味に合わないフィギュア。
表紙カバーのいいところは、たとえ趣味に合わなくてもかさばらない点にあります。
その意味で、アフタヌーンの付録は一番始末に困ります。
いや、なんか祟られそうじゃないですか。女神像を燃えないゴミに出すって。
We hate fire! って叫んで襲いかかってきそう。
そう考えるとヤングマガジン Uppers はいい雑誌だったよなあ。
ごくたまに付いてきた付録が『バジリスク』特製表紙カバーだもの。」
「つまり、お前以外の人間は全員お前じゃないメソッドに従って考えると、
チャンピオン RED が付けるべき付録はフィギュアではなく表紙カバー。
個人的には 1/10 スケール七丁念仏を付けてもらえると非常に嬉しいですが。」
「“これを全て守って更新したけど清潔で美しく健やかな毎日を過ごせない”等の苦情は受け付けません。 清潔で美しく健やかの定義が曖昧なんじゃないでしょうか。」
「昨日は映画の日だったので映画鑑賞。」
「半分くらい寝た。それも重要なシーンを中心に。
この映画についてはまともな鑑賞者とは言えないので、話半分で読んでください。」
「下世話な話ですが、最初に感じたのは「『ハサミ男』に比べて金がかかってるなあ」ということでした。
京極堂のセットや久遠寺医院もちゃんと作ってあるし。
まあ考えてみれば『ハサミ男』より金がかかってなさそうな映画化ミステリというものも珍しいはずなんですが。」
「阿部寛については何度も何度も「これが榎木津でいいのか?」と言ってきたわけですが、
大人しい方向に良かったというか、駄目な方向に駄目だったというか。
今にして思うと『姑獲鳥』の榎木津はシリーズ中最も大人しい、ある意味常識的とすら言える榎木津だったんですね。
当サイトが期待していたのは、阿部寛によって榎木津という概念が木っ端微塵に叩き潰されて、
原理主義者の人たちが「あれは違うから。なかったことになってるから」と現実を放棄するような光景だったんですが、
何だかそこそこ原作どおりの立ち回りをしているように見えます。
面白くないなあ。」
「寝てたシーン一覧。」(よりによって重要なシーンばっかり)
「中盤にかけてカタルシスがなかったせいだと思います。 ずっと静かに謎がたまっていくシーンばかりだから。 最後のあれはあまり興味がなかったせいかな。」
「気になった点。」
「上映が終わったあと、近くの女性数名のグループがしていた会話。」
「わかった?」
「よくわかんなかった」
「分かる分からないの話をするということは、おそらく原作は読んでいないはず。 今までも、そしてこれからも、こういう方々が割と多数生産されるかと思うと、 『姑獲鳥の夏』という傑作を読み逃した彼(女)らに一抹の不憫さを感じないこともないですが、 原作付き映画を観に行くのに原作を読んでいないというのはその時点で既に士道不覚悟であるので、 それはもう各自で責任を取っていただくしかないですね。」
「まとまらなそうなので強引にまとめ。
原作ファンの人は特に見なくてもいいが、見ると話のネタになるので損はしない。
俳優ファンの人は原作を読んでいないとちょっと損するが、世の中で小説を読む人というのはときどき驚くほど少ないので、統計的に大した問題ではない。
京極夏彦はたぶんこの映画を作ってて楽しかった。
というわけで、それほど悪い話ではなかったんじゃないかと。
個人的にもそれほど損したという気はしません。
どうせならもっと滅茶苦茶にしてもよかったと思いますよ。」
「あらすじ。
アメリカの正義を守るチーム★アメリカは大量破壊兵器を隠し持ったテロリストどもを許さないぜ!
というわけでチーム・アメリカはパリで 5 人のテロリストを壊滅させるためにエッフェル塔と凱旋門と街中の広場をメチャクチャにし、
他の国でも似たような真似を繰り返します。
大量破壊兵器を放置すれば世界の平和は保てないからです。」
「この映画の政治的意図について云々するのは馬鹿馬鹿しいから止めた方がいいです。 相手にするだけ無駄です。喧嘩を売っている相手に全く見境がありません。 右も左もガタガタ言う奴はネタにしろと言わんばかりに全てをコケにしています。 この映画を作った人たちは友達が少ないだろうなと思いました。」
これから鑑賞する人が覚えておくべきポイント
「『サウスパーク』を観てないので監督の人の芸風については詳しくないんですが、
バランス感覚があるようでないところが魅力的というか、他の誰にも真似できないというか、
尋常の人間は誰も真似しないというか、とにかく凄い狂犬っぷりだと思いました。
北朝鮮と金正日が思い切り実名なのは明らかにアウトじゃないのか、
いやそこを「これだけ堂々とやれば逆に何も言えないだろう」ていう変種のノーガード戦法なのか等々考えたんですが、
最後の最後のオチを見て「ああ、やっぱりバランスとか言う以前に“この方が面白い”って考えちゃったんだろうなあ」という結論に至りました。
行動原理が“だって思いついちゃったんだから仕方ないじゃん!”とか
“だってその方が面白いんだもん!”に基づいている人は遠巻きに眺めるのが一番だと思う。
自爆型中二病とでも呼ぶべきか。人のことは言えないけど。
そのハリウッド映画のフォーマットさえ守れば何やってもいいんだろ的態度には強い感銘を受けました。
悪役を倒してハッピーエンドになりさえすれば OK 。
主役チームがどれだけアホで理屈が通ってなくても、美形で強くて挫けないならオール OK 。
自分を信じて夢を追い続けていれば、夢はいつか必ず叶う!」
既に鑑賞した人がチェックすべきポイント
「まとめ。そうねえ。日本人も対抗して『アクメツ世界篇』を映画化するしかないんじゃないの」
「そうですね」
「見かけたり教えていただいたりはてなブックマークで名前が出ていたりしたので書いてみる。 ただ、金の話は生々しいので『オメガトライブ』式吟遊詩人語りを使います。」
「一口 5 万円〜 10 万円で開発費 2 億 6000 万円中 1 億 8000 万円を集める予定ということは、
1800 〜 3600 人が投資することを見込んでいるのだろう、といいます。
正直なところ、『悪代官』シリーズの知名度から言って、この資金が集まるかは五分五分であると xx 氏は見ている、といいます。
また、読み切り時代の『ハヤテのごとく!』が「ときメモファンドの借金で首が回らない云々」のネタで KONAMI から迅速な抗議を受けた件に代表されるように、
世間的にオタク系ファンド = 儲からないという印象が完成しつつあり、
そうした世情不安によって企画自体が消える可能性も否定できない、といいます。」
「したがって、 xx 氏の興味は既にファンドの付加価値に向いている、といいます。 新作ゲームが宅配される、エンディングに名前が出る、牢人者として登場できる等の特典があるなら、多少の金を捨てることは問題ではない、といいます。 むしろ、金の捨て方としてこれより面白いものは珍しい、ある程度積極的に捨てても構わないと考えている、といいます。 xx 氏は帯回し祭に代表されるこの会社の馬鹿であるためのセンスを何よりも信頼しており、 ファンドの特典についても、さぞかし駄目なものが選ばれるだろうと期待している、といいます。」
「僅かに心配な点として、ゲーム自体の楽しさに不純物が混じるかもしれないことが懸念される、といいます。
尋常の取引であれば、面白ければ利益配当が受けられ、つまらなければ元本割れを起こす、といいます。
しかし、金銭のやりとりをたしなむことによって、そのような思慮ができるようになることを xx 氏は恐れている、といいます。
売れる売れないを気にかけて、遊ぶ前から配当の心配をするものは、武士ではなく卑怯者である、といいます。
そのため、ファンドに投資する場合は、ゲームの売り上げを一切見ず、レビュー等も一切書かないといった態度が望ましい、といいます。
下手に褒めて痛くもない腹を探られるのはまっぴらである、といいます。」
「それにしても、個人向けファンド企画の最初が『悪代官』というのは、 ジャパン・デジタル・コンテンツ信託の方々はまったく縁起を気にしない近代合理主義者揃いに違いない、といいます。 『悪代官』を信じて投資してみませんか? というフレーズは非常に胡散臭くてよいので、 千本松喜兵衛氏メインのポスターを作って喧伝するとよい、といいます。」
【 amazon 絵 2日 】オ : あの。ほら。世界中の生物が一斉に腕が 10 本生えてきたり巨大化したりで畸形化し始めて文明がメチャクチャになるヤツ。あれは面白かった。
マク : 『クチュクチュバーン』ですか。あれは確かに笑えますな。
オ : それからほれ。空から大量のナッパン星人が降ってきて人間を大量虐殺して文明がメチャクチャになるヤツ。あれも好きだな。
マク : 『国営巨大浴場の午後』ですね。あれは私はあまり買わない。
オ : それとさ、空から緑蟹と藍肉スライムの化け物が大量に降ってきて人間が直腸出しで命乞いをして文明がメチャクチャになる…
編 : あのう。すみません。私も不勉強なのは反省しますが、吉村先生の作品って全部そんなのばかりなんですか。
マク : 「そんなの」なんて云ってはいけませんよ。ひとつのモティーフを少しずつヴァリエーションを加えながら何度も何度も書いてゆく、これは芸術家の表現形態としては極自然なことだよ。
オ : そんで、あの直腸出しの話は何て題名だったかしらん。
マク : 『人間離れ』です。
オ : そうだった。
「と『白熊座の女は以下略』の一節をひねりたくなったことからも自明なように、 読んでいて深堀骨作品を思い出したことですよ。 それから自分が自分以外の物になってゆく恐怖は GIOGIO のラスト(*1)。」
「それで結局この発狂していると評判の作品に意味はあるのかという点ですが、
それはあるとも言えるしないとも言えます。
冒頭で引き合いに出したついでに深堀骨の作風と比較してみると、
深堀骨作品は起承転結が意外にもしっかりしているのですが、
起承転結自体のスケール感と、その骨格の上に載った細部とがどうしようもなく間違っているので、
全体としては壊滅的なまでに間違っていて無意味な作品ができあがっているのですね。
それに対して『クチュクチュバーン』収録作品は、起承転結がない割に、
登場人物の行動や細部の描写はそれほど狂っていない。
具体的に言うと「いおり」「ただすけ」「いおり」「ただすけ」って言ったりしない。
従って、圧倒的な無意味さを誇るのはあくまで設定だけであって、
そこから先は無意味でない生活小説として読んでいけると思いました。」
「ただ、そう書くとまるで『クチュクチュバーン』が理不尽な出来事に対応する人々の悲哀を描いたカフカの『変身』みたいな話に聞こえますが、
そういった高尚さはありません。
希望に満ちたラストだとか、人間社会のむなしさだとか、極限状況に置かれた人々の怒り? 憎しみ? 喜怒哀楽?
そういうものも積極的に前面に押し出されてはいません。
むしろ作者はそのような人間性だとか意だとかを消そうとしているように読み取れました。
その意味だと『人間離れ』は人間味がまだ少し消しきれてないですね。
ラストの一文なんかは少々余計でした。
これじゃまるでこの短篇が人間を描いたアイロニーな文学作品みたいじゃありませんか。」
「まとめ。そうねえ。この人が芥川賞なら深堀骨にも直木賞をってことしかないんじゃないの。」
「そうですね」
「読み逃していた『エマ』(森薫、エンターブレイン) (4)(5)を読む。」
「…凄い。愛情が立体的だ。いや、作者のエマに対する愛が。
『銃夢 Last Order』におけるカエルラ・サングウィスへの作者愛が頁間から匂い立つような愛だとすると、
『エマ』のそれは物理的で、立体的で、重量感があって、まるっきり鈍器そのものです。
今にも手に取れそうだ。これで後頭部を一撃されたら大の大人でも無事じゃすみませんよ。
荒木飛呂彦が「敵役が馬車から降りるシーンで 2 ページも使うか」と恐れられたというのに、
この人ときたらエマが外出着からメイド服に着替えるだけで 6 ページ使うんだもの。
精魂のこもりかただけなら『シグルイ』に匹敵する勢いですよ。
あまりに怖くて大笑いです。
作者の念系統は絶対具現化系に違いありません。
基本修行の途中で順番をすっ飛ばしていきなりメイドを出しそう。
超サイヤ人のバーゲンセールみたいな勢いで。」
「あと、マッドアナウンサー評論家的な視点で見ると、 5 巻でウィリアムが訪ねてきたときの見開きシーンがよく出来てます。 見開きの左端に家中の人々が出てきて、それぞれに驚いたり喜んだりショックを受けたりしてる様がね。 個性的な脇役によってメインキャラを更に立てる技術がマッドアナウンサーであるならば、 さしずめこれはマッドギャラリーといったところか。」
。 Google Adsense で見かけました。爆発的にものすごくいろいろなことを想像しちゃったじゃないか。
「思いついたので並列感想を書いてみます。
なんかマンガばかり読んでるとバカになるみたいな構成ですが、
致命的な差は取り上げる作品を両方読んでる人間が破壊的に少ないという点でしょうか。
そりゃそうだ、アフタヌーンの連載が終了したばかりで単行本化されていない作品と、
SF マガジン 2005 年 5 月号に掲載された単行本化されるまで推定 5 年はかかる作品ですからね。
どちらも分かる人というと、アフタヌーンと SF マガジンを定期購読しているか、
アフタヌーンを定期購読している深堀骨の熱狂的ファンか、
SF マガジンを定期購読している黒田硫黄の熱狂的ファンか、
黒田硫黄と深堀骨の熱狂的ファン。このくらいのパターンしか思いつきません。
全部合わせて地球上に 3000 人くらいしか存在しないんじゃないですかね。
(*1)」
「それはそれとしてあらすじ。」
『ミシ』
「平凡な社会人 1 年生、窪田君のアパートには変な隣人が住んでいます。
名前はミシですが、何だか分からない獅子舞じみた生き物です。
一応知能はあります。常識はありません。唄を唄ったり小学生を脅したりします。
それはそれとして、窪田君は大学生活の最後を悔いています。
女の子と自室でいい感じになりながらも、遂に何もできずに別れてしまったからです。
嗚呼、自分はなぜあのとき「好きだ」とひとこと言わなかったのか。
失われた青春。過ぎ去ってしまったモラトリアム。
そんな叙情をぶち壊す隣人の唄。コイプー。」
『シンクロナイズド坂』
「柴刈天神前サーガの一篇。
柴刈天神前にシンクロナイズド坂と呼ばれる 2 本の坂あり。
片方は地蔵坂、片方はドラゴン坂と称されたが、あるときある理由でシンクロナイズド坂と呼ばれ始める。
そのくだりは大して意味がないのでそれはそれとして、シンクロナイズド坂と呼ばれるからには 2 本の坂はシンクロナイズドしている。
上空から見下ろせば、片方の坂のうねりにもう片方がシンクロしているのが見て取れるだろう。
そして 2 本の坂はやがて 1 本に合流する。うねうねした V 字型を想像してもらえれば幸いである。
その描写も大して意味はないのでそれもそれとして、 2 本の坂の間にはまずいラーメン屋が 2 軒あるが、これまた大した意味はない。
それを言い出すとこの話自体に大した意味はないのだが、まあそれはそれとしなければ話が進まないのでそれはそれとしよう。」
「で、わざわざこの 2 作品を並べたのには理由があるわけです。大した理由じゃありませんが。
何かと言うと、この 2 つの物語構造が極めて似通ってるのですね。
つまり、起承転結のバランスが異常に悪いというか、漢字で書くと奇症癲結というか。」
「どうせ単語だけ書いてもネタバレにもなりゃしねえと思って書いてます。
未読の人は全く意味が分からないと思いますが、既読でも大して意味は分からないのでそれはそれとして勢いだけ受け取ってください。
そう、これだけやっておいて最後は日常に着地するというところがポイントです。
一体自分は何を読まされたのだろうとむじなに化かされたような感覚のうちにも、妙なさわやかさが残るのです。
何となく釈然としないものを感じつつも、「ま、いいか、変な単語や変な展開も楽しかったし」と思ってしまうこの「何だか知らんが、とにかくよし!」パワー。」
「タイトルでググってみると分かるんですが、
嫌いな人からは「意味が分からない」「何これ?」「こんなの載せないでほしい」とメタクソに言われているのもこの 2 作の共通点ですね。
その気持ちは分からないでもありません。
「分からないからつまらない」と「分からないけど面白い」は表と裏でしかない。
自分としても、あまり弁護するとバカみたいなので誉めすぎるのもアレだと思います。
ただ、それを承知で敢えて誉めるならば、こういう娯楽が溢れれば世の中はもっと混沌として面白くなるのじゃないかと思うわけです。
好きな単語を並べて適当な話を作っても、楽しくて最後にさわやかならいいじゃないかと。」
「そんなもっともらしいことを言っても、結局は「小さくてずるくてキモいみし」って書きたかっただけなんですけど。」
「以下は余談。
最近 GoogleMapsEditor という地図上に自作データを載せるツールを見つけたんですが、
これのサーバ側インターフェースを Google Maps API と全く同じにすることで、
架空の地図情報を提供することはできないだろうか。
そのネタとして是非やってほしいのが杜王町と柴刈天神前。
もし完成したらとても喜ぶので、誰か作ってください。」
「ようやくクリア。そして即 2 週目に突入。 今度こそは、今度こそは完璧で壮麗な江戸の都を作り上げてみせる…!」
古来如何に大勢の親はこう言う言葉を繰り返したであろう。――「わたしは畢竟失敗者だった。しかしこの子だけは成功させなければならぬ。」
(芥川龍之介『侏儒の言葉』)
「このゲームの存在自体を知らない人もいるでしょうから一応説明しておくと、
『江戸もの』はかの怪作『悪代官』シリーズの微妙な続編です。
厳密には続編じゃないのですが、千本松喜兵衛氏が主演なのと、
悪ノリのセンスが全く変わってないので事実上続編と一緒です。」
「結論から先に書くと、個人的には凄く楽しかったんですけど、余人にはあまり勧めません。
なぜかというと今回のは割と真っ当に面白い(そして割と真っ当に目立たない)ゲームだから。
『悪代官』は良くも悪くもアクが強すぎてメインストリームから夢光年隔たっていたオリジナリティの具現化系な作品で、
逆にそれだからこそ生まれた味というものがありました。
だってねえ。まともな大人の考えるこっちゃないでしょう。
一面から柳生十兵衛を「いきなりビッグネームが出てきおって!」と叫びながら大量の相撲取りと一緒に火炎放射器で焼いて爆散させるゲームなんて。
あの身も蓋もないバトルシーンと更に輪をかけて身も蓋もないムービーの数々は、
まさに強襲というべきインパクトで我々の脳を揺さぶったわけですが、
翻って『江戸もの』はというと、街作りシミュレーション + ターン制の戦術シミュレーションという比較的平和なコンセプトで作られています。
それはそれで別に悪いことではなく、事実、江戸の街作りは本当に楽しい。
長屋を徐々に育てて廻船問屋や高級料亭に進化させる楽しみ。
交通の便や開発しやすさ、景気の流れまで考慮して建物の配置に頭を悩ませる愉しみ。
「こんな真っ当な面白さが『悪代官』シリーズで味わえちゃっていいの?」という変な罪悪感すら感じます。」
「しかし、それは同時に、あの時代劇の有名人たちを虐殺するという反社会性と、 ムービーや台詞回しの奇怪さが薄れてしまうことでもあるのです。 プレイしていてそれが残念で仕方なかった。 そこでもっと反社会的なシチュエーションを投入していれば、 作りは真っ当で長く遊べるけど最高に狂っている、そんな素晴らしいゲームになったはずなのに。」
「具体的に言うと、江戸の街が火の海になって築き上げた建物がばりばり焼けていくイベントは是非とも作るべきだったと思います。
あと、大阪や首里城に攻め込んだときは全く無意味に建物に火を放てるとか。
人口ゲージが真っ赤になってグングン減っていくの。
それを見た大塩平八郎が「ひとでなし!」って激怒して気力 150 のハイパーモードになってツイン大塩ライフルで江戸軍を壊滅させたりね。
そういう腐ったアイディアが今回は少なかったですね。
あと、脚本は深堀骨に書かせるべきだと思う。
途中どんな無理なことをやっても無理矢理無難なオチにしてくれるから。」
「まあ、ムービーや台詞が薄くなったと言っても、薄くなっただけで本質は変わってないんですがね。
気づいただけでも『ジョジョ』『バキ』『覚悟のススメ』『宇宙戦艦ヤマト』『笑点』『仮面ライダー』『Kill Bill』のネタが入ってました。
ちなみに坂本龍馬は仮面ライダーです。クローン坂本龍馬が敵側に 8 体くらい出てきます。
最強必殺技は維新サイクロンです。おやっさんは勝海舟です。
読んでいて意味が分からないと思いますが、意味はないので大丈夫です。そういうゲームだと思うしかありません。いい意味で。(*1)」
「友人宅にて鑑賞。 CAPCOM 制作陣の割腹的クリエーション態度に感涙する。
CAPCOM はまだこんなハジケたゲームを作れたのだなあ。
個人的にはこのゲームを思想のない『ジャイアントロボ The Animation』と呼びたいですね。
『ジャイアントロボ』に思想が必要だったのかという話は別として。」
「ゲームをやりこんだわけではないので、以下ダラダラ語ります。
この作品はいい意味で史実に対する敬意が全くなく、
独自解釈というレベルじゃなくて明らかに思いついたカッコいいネタを片っ端からつぎ込んで作っているわけです。
その態度にケチをつける気は全くなく、「その方がカッコいいじゃないか!」と言い切ってしまうタイプは大好きなので CAPCOM を肯定することに何ら異存はありません。
ただ CAPCOM のゲーム作りってこんなんだっけ? という違和感は拭い切れなかったのですね。
CAPCOM ってもっと地道な商売をしてなかったっけ? なぜことさらにバカゲー? という。」
「『戦国 BASARA 』の作りは非常にしっかりしていて、ロード時間、キーレスポンスといった面ではほとんどストレスを感じません。 この作品をバカゲーたらしめている要因はひとえにそのセンスなのですね。 キャラ造型やムービーが狂っているからバカなのです。 個人的な解釈では、スタッフが非常に頑張って、仕事として真面目に脳のタガを外している印象を受けました。 つまりこれは商売としてのバカゲーです。」
「引き合いに出すのもアレですが、『悪代官』の制作態度はこれとは一線を画しています。
『戦国 BASARA 』からムービーと T.M.Revolution の主題歌(またこれがカッコいいだけカッコよくていい味出してるんです)を引くと、わりかし真っ当な軍隊蹴散らしアクションが残ります。
それはバカゲーではありません。(It's not Baka-Game.)
しかし『悪代官』からムービーを引くと、そこには時代劇ヒーローを家来ごと虐殺ゲームが残ります。
はい、それはバカゲーです。(Yes, It's Baka-Game!)
つまり『悪代官』はコンセプトが根底から狂ってるわけで、いわばナチュラル・ボーン・バカゲーなのですね。
『戦国 BASARA 』のそれと違って、スタイルではない。
プログラム的に喩えるならスキンのように置換可能なオプションではない。
「こんなゲームを作りたい!」という原初の動機、つまり要件定義のフェーズから間違っ
ている。」
「一応断っておくと、『戦国 BASARA 』を否定するわけではありません。
これはこれで好きなんです。
ただ、真っ当なゲームを作れる人は真っ当なゲームを作ってほしいわけですよ。
いや本気で。王道なくして邪道は存在し得ないのだから。
今 CAPCOM がこのゲームを作る意味というものを考えると、
いろいろ新たな路線を研究してるのかなという感じを受けます。
CAPCOM の経営状態について詳しくは知りませんけど。
その結果がこのバカゲーであるとしたら、それはそれは面白うてやがて悲しい話で、
それが冒頭の「割腹的クリエーション態度に感涙」という表現に繋がります。いい話だ。」
「まとめ。そうねえ。バカゲーを一生懸命作る CAPCOM スタッフは偉いなあと思いました。 そんな努力して思考のタガを外す仕事がしてみたいですね。 このゲームは是非とも売れてほしい。」
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