『悪代官』レビュー

『悪代官』 プレイステーション2 グローバル・A・エンタテインメント 5980円(税別)

文責 : xx

(初めに断っておきますが、筆者は別にゲーマーではなく、時代劇原理主義者でもなく、 モラリストでは有り得ず、扇動家としても三流です。 要するに、この文章を信用しないでください。)

紹介代官

ゲーム内容

「本作品は世界初の本格的悪代官シミュレートゲームです。 時代劇に登場する魅惑的な悪代官たち。 そのめくるめく生活を故意に誤った方向で異常再現しました。
制作費の安さを役者の味と脚本のみで補ったある意味豪華ムービー!  誰もが知っている時代劇ヒーローたちを罠と手下で虐殺する爽快アクション!
この夏、小悪党の奮戦がお茶の間の話題を独占。 お父さん怒る。お母さん怒る。お兄ちゃん爆笑弟ポカーン。 猫は喜び犬駆け回りおじいちゃん痙攣おばあちゃん昇天。」

「以上の文章から、筆者がこのゲームについて説明する気がまるでないことを見て取っていただけたと思いますので、 正確な内容が知りたい方は、天下の ZDNet 様が誇る 『悪代官』特設ページ をご覧になった上で以後の文章をお楽しみください。
そちらに用意されております“オープニングムービー”並びに“壁紙”を入手していただけると、 更に楽しみが増すことと心得ます。」

真・ゲーム内容

「おそらく、“悪代官”という響きから連想される陳腐なイメージを取り出して、 煮詰めて発酵させて駄目な方へ駄目な方へ育てていくと本作が生まれるんじゃないかと思います。」

「システムとしてはトラップ型アクションゲームに分類される作品です。 単刀直入に云って『刻命館』シリーズの和風退化アレンジですが、 本作の信じられないところは、その駄目さをより強いシナリオの駄目さで押し流している点です。
このゲームは(おそらくは単独の天才の手によって)犯罪的なまでにねじ曲げられているのですが、 それが思わず“ここまで曲がるものか”と感心してしまうほどに気持ちよく曲がっているのです。 正直云ってこの歪み方は商業レベルで許される範囲を超えていると思いますが、 それが許された原因はひとえに時代劇という題材と先人の遺した遺産ゆえでしょう。(この部分後述)」

結論から先に書くが馬鹿以外はやるな

「『悪代官』はおおざっぱに分けて3つのモードから成り立っています。
一つは罠・用心棒の開発・調整を行う“準備モード”。
一つはゲーム本体となる“戦闘モード”。
そして最後の一つがこのゲームの真髄たる“ムービーモード”です。
本作の価値は、その全てがムービーに起因していると云っても過言ではありません。 従って、このムービーを楽しめない人間は『悪代官』をやるべきではないです。
このゲームは、云ってしまうなら“その場キャラゲー”なのです。 悪代官と悪徳商人という極めて陳腐な時代劇キャラを、 気の狂ったムービーひとつで極限まで尖ったフリークスに仕立て上げ、 その勢いだけで戦闘モード・準備モードを消化させる。 それこそが『悪代官』の唯一にして最大の魅力なのです。
このムービーが醸し出す最悪のハッタリにより、苦しみは半分に、爆笑は二倍に変化します。 従って、この奇形的に尖ったシナリオと設定を無視し、 PS1 とみまごうポリゴンの荒さや大雑把なゲームシステムのみで本作を語ることは愚の骨頂です。」
(まあ、だからといって狂気のみを取り上げるこのレビューもどうかとは思いますが)

「このムービーが何のために存在するかというと、 それは“時代劇の各種ヒーローを虐殺したい”という社会不適格者のねじ曲がった欲求を正当化するためです。 世の中の良識家諸兄はそんな欲求が存在すること自体一生知ることはないと思いますが、 “世に変態の種は尽きまじ”と云うくらいで、これが意外と大勢いたりします。
ただ『悪代官』ムービーの本当に楽しいところは、その理由付けがだんだん適当かつ分裂的になっていき、 ついには時代考証の意図的仏契(ぶっちぎり)やガンダムネタの取り込みを始めたりする部分にあるんですが。
想像してみてください。一話目から“山吹色のお菓子”“サービス”“お主も悪よのう”等の単語が飛び交うドラマムービーが、 話が進むに連れて支離滅裂さを増し、“埃及”“サクセスストーリー”“携帯”“赤い彗星のシャ(自粛)”“御落胤”と蛮勇の限りを尽くす様を。地獄です。 本稿の執筆に当たってもう一度最初から見直してみたところ、 ちゃんと一話目が一番まともでした。」

感想奉行

「攻略を求めている方には大変申し訳ないのですが、攻略はしません。 なぜなら攻略情報を書くと笑うからです。心から笑います。 あと頭が悪いからです。もう悪いですが、もっと悪いので厭です。 試しにざっと書いてみましょうか。」

「最悪ですね。バッドトリップ文字列としか思えません。厭です。」

(2003-01-18)
「訂正。天草四郎に地雷が効かないというのは嘘でした。気力が高くてすり抜けていたようです。 初回プレイのとき、ネビュラチェーンを踏み越える双子座の聖闘士のように余りにも平然と歩いてきたもので、 思わず“飛んでるからかぁ!”と叫んでしまいました。」

時代劇×虐殺×狂気=狂気

「まず、このゲームを最大限に楽しむための(異常に高い)ハードルとして、 『江戸むらさき特急』(ほりのぶゆき、小学館ビッグコミックス ワイド版)を全巻読破していることが必要です。 反論は認めません。単なる時代劇ファンでは駄目なのです。駄目な時代劇ファンでなければ駄目なのです。 『江戸を斬る』と聞いたときに思わず笑ってしまうような、 『武士の情け』と聞いたときに思わず笑ってしまうような、 『うっかり八兵衛』と聞いたときに思わず笑ってしまうような、そんな素養が求められます。
というかゲームオーバー画面のイラストがあからさまにほりのぶゆき画体なんですが、まさか本人じゃありませんよね?」

「前述のように、筆者はこの作品のふざけ方を商業流通に乗せて素通しできるレベルではないと考えていますが、 それは主にやりすぎだからです。
偉大な先人たちが造り上げた“時代劇”という遺産を思うさま蹂躙するこのゲーム、 当然ながら版権的には途轍もなく危ない橋を渡っています。
しかし。
重要なことですが、歴史上の人物名には著作権がないのです。 これはつまり、“暴れん坊将軍”等の固有名詞を出さない限り、 時代劇に登場するヒーローたちは使い放題ということです。 『スーパーロボット大戦』が凄まじい版権力を以て実行したことを、この怪作はあっさりと実行してしまうのです。
かくして“火を付けられる火付盗賊改” “大岡越前三方一気刺” “柳生十兵衛死す 〜入り口で30人の槍に突かれて〜” “或いは力士でいっぱいの船” etcetc の怪奇白昼夢がお茶の間の TV を彩ります。 涙で口もきけません。」

「ただ、個人的に残念なことに、筆者が最も愛している“三匹”は出てきませんでした。 『三匹に斬られる』がやりたかったのに。 リプレイで『また三匹に斬られる』がやりたかったのに。 リリプレイで『またまた三匹に斬られる』と口に出して周囲から冷たい視線を浴びたかったのに。 セーブ中断ロードして『三匹に斬られるリターンズ』『ニュー・三匹に斬(以下略)」

豆知識同心

「以下、個人的な素敵ポイントを挙げておきます。」

火の用心、放火一瞬ケガ甚大

「このゲームにおける炎法則として、“人は紙”というものがあります。 読んで字のごとく、人間は極めて燃焼効率が高いのです。 一度燃えた人間は数秒間に渡って悶え苦しみ庭駆け回ります。 しかも、その間のキャラからキャラへの燃え移りも容易です。 敵から敵への引火は大変有効ですが、同時に敵から味方、味方から味方への引火もありえます。 火はまさに悪人にとっての諸刃の剣と云えるでしょう。」

「かくいう筆者も、この法則を知らなかったために痛い目を見た覚えがあります。
代官自ら火炎放射器を操作して敵の一人を燃やしている最中に、 愚かな家来どもが当の相手に斬りかかったのです。
当然彼らは火だるまとなり、ついでに導火線の役目を果たし、炎は瞬時に悪代官へと引火しました。 屋敷は見る間に焦熱地獄です。動くもの全てが火に包まれて悶えています。 大爆笑です。同席していた友人は叫びました。」

『ボンクラーズだ!!』

燃えよ剣(別の意味で)

「以上のようなことを書いておいて何なんですが、 罠の中で最もコストパフォーマンスと信頼性が高く、最後の砦となってくれるのは炎吹童子(火炎放射器)です。 特に炎吹童子(松)は使用回数が8回とお得設計なので、 廊下の行き止まりにこれを配置しておくと“すわ”というときの保険となってくれます。
逃げ込む→追ってきた敵を焼く→敵慌てて逃げる→戻ってきた敵焼く→…
ここで「ねえジョニー! どうせなら虎ばさみで動きを止めてから焼くといいんじゃないかしら?」などと考え始めれば初心者脱却ですね。
ぶっちゃけた話、体力を半分程度まで削っておけばラスボスもこの手段で殺れます。というか殺りました。
また、別ルートが確保できる細い通路(襖の外の廊下など)にスイッチと火吹童子を一緒に置いておくと、 敵がそこへ踏み込むたびに焼け爛れて消耗してくれます。 ゲーム的にも人道的にも非常にしょっぱい痛め技ですが、未来の人は云いました。“汚物は消毒”と。」

「なお、悪代官武器シリーズ中最高額の“毘羅密刀”(ピラミッドウ)は回数制限無しで炎を出せる無敵の刀ですが、 振ると必ず代官自身にも引火するので使う必要はありません。
ただし、唯一ステキ極まりない使い方として、入り口から代官の位置まで一直線に相撲取りを配置し、 開始直後に毘羅密刀を振る、という悪魔的所行があります。 これによって相撲取り諸君が導火線となり、炎は意志を持ったかのように正義の味方へと襲いかかることでしょう。
実際、数十人の相撲取りが火だるまとなって逃げまどう姿というのは、 世界的に見ても『悪代官』以外で再現することはほぼ不可能と思われます。一見の価値はあるかと。」
(わざわざ相撲取りを選ぶ理由は、単によく燃えそうだからです。それだけです。)

my soul is flyin' like a fireball

「炎系の遊び方を一つ。」

  1. 入り口から代官の初期地点まで、用心棒(なるべく折助等の雑魚)を配置する。多ければ多いほど良い。
  2. 入り口付近に爆弾(裂樽)をびっしりと配置する。多ければ多いほど良い。
  3. 裂樽への点火装置を配置する。スイッチは入り口から少し離れた場所に置く。
  4. 代官の初期地点に向けて火炎放射器(炎吹童子)を設置する。スイッチも近くに配置する。
  5. 帯を回す。(編註 : 返り討ちモード開始の意。馬鹿ですか?)
  6. 正義の味方の登場と同時に火炎放射器のスイッチを踏み、自らの体に火を放つ。
  7. 用心棒を蹴散らしながら正義の味方へ突進する。
  8. 正義の味方へ体当たりし、一緒に燃える。
  9. 「ギュオオオオ」と云いながら弧を描くような軌道で正義の味方から離れる。
  10. 「ばぁくはつ!」と叫んで爆弾に点火する。

「この技を、“マスターガンダムの飛び道具ってあったっけ?”という筆者の質問に対し、 “超級覇王電影弾”と答えたH君に捧げる。 確かに、云われてみれば通常“飛び道具”と呼ばれる道具は正確には“飛ばし道具”だ。」

攻略本先生

悪代官―悪行三昧の書
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4775800124/
悪代官 公式攻略指南書
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4575163333/

リンク隠密

グローバル・A・エンタテインメント
http://www.gae.co.jp/
『悪代官』
http://www.gae.co.jp/game/akudaikan/

開発元。『ザ・マエストロムジーク』のような“ああ、アレ”的ゲームを開発している会社。 殺人鬼が“あの真面目な人がいったいどうして”って後から云われるようなものですかね。
会社概要にあった開発理念がちょっと素敵だったので引用。

私共グローバル・A・エンタテインメントは 『200万人のユーザーの中から何%』という徒手空拳的なマーケティングによるものでなく、 『強引にブランドから50万本』というホームラン狙いでもなく、 『確実に、しかもシリーズ化を前提に継続して購入する10万人』というピンポイント市場を念頭に置いた、 ゲーム制作開発を行っております。

「バカゲーを愛する虐殺好きほりのぶゆきファンなんて生き物が10万人もいたら日本は滅びます。」

(2003-01-18追記)
「2002年末から着メロのダウンロードサービスが始まったようです。
未プレイの方には分からないネタでしょうから少しだけ解説しますが、 『悪代官』の某ステージはピラミッドの中が舞台なのですね。
王家の秘法を求めてピラミッドを訪れた悪代官と大黒屋。
先行して王の墓を探索している部下の報告を待つ悪代官と大黒屋。
その間、座敷でインテリジェントな会話を愉しむ悪代官と大黒屋。
そこへ携帯の『悪代官』着メロが鳴り響いて悪代官と大黒屋。」

『だ、代官様! お逃げください!』
『どうした!』
『お逃げ…うわぎゃあ!』

「茫然自失の悪代官と大黒屋。
この着メロはそんな思い出をかき立ててくれる素敵な一品です。」

「上記ストーリーには何ヶ所か致命的な突っ込みどころがありますが、仕様なので諦めて下さい。
ちなみに筆者は電波中継器完備の金字塔(ピラミッド)にドキドキです。」

ZDNet : GAMESPOT JAPAN - 『悪代官』特設ページ
http://www.zdnet.co.jp/gamespot/ps2/aku/

「ゲーム系ニュースサイトの『悪代官』特集。
オープニングムービーや壁紙等の、他にはちょっと思いつかないくらい明確な帯域浪費コンテンツが置かれています。 一度担当の方と実写版『江戸むらさき特急』を観ながら語らってみたいものです。」

Gamers.com : Bad Magistrate
http://www.gamers.com/game/1184510/

「海外のゲーム攻略サイト。 “悪代官”を自己流で英訳してスペルチェックのために Google ったら出てきました。 (ちなみに欧米にも代官はいます。ウィリアム・テルは悪代官と戦ってましたから。)
欧米人がこれほどの情熱と執念深さを以て日本ゲーム市場を観測していることに今更ながら驚かされます。馬鹿ですか。
2002/08/11現在、最初の感想タイトルが“An idea comes from nowhere, Jap has done it again.”とありますが、 これは和訳すると“奇想天外より来ると言いますが、ジャップの連中またやりやがった”でいいのでしょうか。 勝手にジャップを代表して応えます。ありがとう。」

ゲームを語ろう
http://homepage1.nifty.com/sawaduki/
爆笑地獄へようこそ 「悪代官」の連鎖する笑い
http://homepage1.nifty.com/sawaduki/game/sawa/daikan.html

「ここのと違って真面目なレビュー。」

家ゲー攻略板@2ch : ★悪代官ってどうよ★ (171) (過去ログ)
http://game.2ch.net/gameover/kako/1028/10285/1028597971.html
家ゲー攻略板@2ch : ★悪代官ってどうよ★ (移転先)
http://game2.2ch.net/test/read.cgi/gameover/1028597971/

「2002/08/12 00:00現在、77レス。」

家庭用ゲーム板@2ch : PS2 悪代官 に期待するスレ
http://cocoa.2ch.net/test/read.cgi/famicom/1025181525/
家庭用ゲーム板@2ch : 【いえいえ】悪代官【お代官様こそ…】 (52) (過去ログ)
http://game.2ch.net/famicom/kako/1017/10176/1017642191.html
時代劇@2ch : PS2 「悪代官」発売!! (3) (過去ログ)
http://tv2.2ch.net/kin/kako/1029/10294/1029415214.html
時代劇@2ch : おもしろい時代劇ゲームを教えれ
http://tv2.2ch.net/test/read.cgi/kin/1026944671/
時代劇@2ch : 悪代官総合スレッド
http://tv2.2ch.net/test/read.cgi/kin/1026944671/

「過去ログを漁って見つけたもの。 [悪代官 site:2ch.net]で検索すると色々と面白げなものが引っかかるようです。」

真紅の空中庭園
http://members11.tsukaeru.net/rose-fox/
悪代官 攻略巻
http://members11.tsukaeru.net/rose-fox/game/akudai/top.htm

「『悪代官』攻略ページ。」

アルフレックス
http://www.alfrex.co.jp/

「時代劇系フィギュアを取り扱う会社。全然関係ないんですが、[悪代官]で検索して出てきたので。
“うっかり八兵衛フィギュア初回500セットおにぎり(2個)付き”が完売しています。 この国はもう駄目になってしまった。」

ライター紹介

xx

雨期を待って数年間地中で眠る砂漠生物の卵の如く、 心に響くバカゲーを注がれるまで何年でも冬眠し続けるフシギ生命。 前回レビューした作品は『グラップラー刃牙 バキ最強烈伝』(TOMY、PS2)。 WinMX の動作確認で“江戸の黒豹”と入力するほどのエセ時代劇ファン。 本稿は『江戸の黒豹』(杉良太郎)を BGM に執筆された。