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サンタ仮説

サンタクロースの戦闘能力に関する一考察

□ 序文 □

本稿に於いて展開される論説は単なる事実の羅列もしくは憶測の域を出ぬ推論であり通称サンタクロースと呼称される存在ならびにそれを名乗る人々への侮辱を意図したものでは有り得ず従って著者がこれに関する抗議・反論・訂正要求・損害賠償請求等に応じる必然性のないことは一種過剰なほどに明白であるッ。

□ 事実 □

事実だ、当然のことながら。

それも極めてシンプルな事実と云える。 何故なら、論理的整合性の御旗のもとに論を突き詰める限り、 この仮説を否定することは即ちサンタクロースそのものの否定を意味するからだ。 諸君らはまさか、サンタの存在を認めぬほど莫迦ではあるまい。

結論から云おう。サンタは強い。の友人エス君
の社会的生命を賭け、ここに断言する。紛れもなくサンタは強い。 もう少し詳しく云うならば、「生身の人間がサンタと戦って勝てるわけがない」だろうか。

諸君らはまさか、サンタを知らぬほど莫迦ではあるまい。 サンタと云ったらサンタだ。
赤い服、白いヒゲ、大きな白い袋をかつぐ、あの老人だ。
クリスマスに世界中の子供たちにプレゼントを配って歩く、あの老人だ。
トナカイの引くソリに乗って煙突を出入りする、 世界で二番目くらいに有名な年寄り(*)、あの老人だ。

*: 一番は多分“神様”である。名前で云うとヤハウェ氏。

サンタの戦闘能力の証明は、或る一つの数字を示すだけで足る。 サンタ氏はクリスマスの夜、世界中にプレゼントを配る。 クリスマス一日で、世界中にだ。 分かりやすく言い換えよう、サンタは24時間で地球を周回するのだ。

地球の円周を4万キロメートルと仮定しよう。 これを24時間で一周するに必要な速度は、 40000 ÷ 24 ≒ 1666.66。 時速1666.66キロメートルだ。 周知の通り、マッハ1は約1200キロメートル/時。 マッハ1.39だ…。
更に、実質作業時間を移動時間の1/3と仮定しよう。 すると 40000 ÷ 16 ≒ 2500。 平均速度は実にマッハ2.083にも達するッ!

諸君らもこの恐ろしさが分からぬほど莫迦ではあるまい! もはやソリは戦闘機と比べても遜色ない超音速領域なのだッ!
サンタを直撃する空気抵抗は伊勢湾台風すら扇風機に思える究極暴風!
マッハの衝撃により雲の粒子すら弾丸と化す流体地獄!
高衝撃・極低温・24時間連続労働、その地上最悪環境を、 年老いた身で毎年毎年、数百年間無償で繰り返してきた大馬鹿野郎ッ!
配達する奇跡ッ!
我らが最愛の永遠なる伝説ッッ!!
その名はサァーンタクローォォォォォォスッッッ!!

□ 展開 □

諸君らも今更サンタクロースの肉体的・精神的な耐久力について疑問を呈するほど莫迦ではあるまい。 しかも彼は、家屋への侵入に於いてもプロフェッショナルなのである。 極度に限られた時間の中で的確にプレゼントを配達し、速やかに立ち去る手際。 無音歩行術等の隠密行動技能を拾得していることは確実だ。 しかも、その洗練が凄まじいものであることは明白である。 彼は数百年に渡り目撃されたことすらないのだ。

その上、仮にサンタと事を構える場合、敵は他にも存在する。 云うまでもなく、実質ソリを引いている8頭のトナカイ(*)である。 彼らこそ生身でマッハ2を叩き出す地上最強生物なのだ。 これに比べればパーマン各人でさえその戦闘力は遊戯の域を出ていない。 しかも、それが8頭。東京壊滅すら難儀な仕事ではあるまい。

*: 名前はそれぞれダッシャー、ダンサー、プランサー、ビクスン、
コメット、キューピッド、ダンダー、ブリッツェン。

だが真に恐るべきは、その生物兵器群をいとも簡単に制御するサンタクロースである。 トナカイが決して人に従順な生物ではないことは、 現実にエスキモーがトナカイにソリを引かせていない事実からも明白だ。 その上彼らは並みのトナカイとは黒色火薬と水爆ほども違う規格外の超化物なのだ。 機嫌を損ねればいななきのみで粉々に吹き飛ばされようものを、 かのサンタクロースは平然と統率しているのである。

諸君らも、この期に及んでサンタの実力が分からぬほど莫迦ではあるまい。 仮に彼が格闘技術を持っていないにせよ、生身の人間が勝てる相手では絶対にない。 己に武器があり相手に武器がないからと云って、蟷螂(カマキリ)は象に喧嘩を売るまい。
諸君らは怖くないか? 好々爺の仮面の下に鬼のポテンシャルを潜ませた、サンタクロースなる彼(か)の老人が。
正直に云おう、私は怖い。 生物としての本能が、サンタにだけは逢いたくないと声を限りに叫んでいる。 私はサンタが、腹の底から怖い。

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